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15冬季編 第2章倒産による人生再建〈ハッピーリセット_スタート〉

Published by office, 2023-04-17 23:32:16

Description: 15冬季編 第2章倒産による人生再建〈ハッピーリセット_スタート〉

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第2章 倒産による人生再建 ―ハッピー リセット&スタートー 経営者は 2 つの人格を持っている 経営者としての人格と人間としての人格である 究極の選択を迫られた時は 迷わず人間として生きる道を選べ 313

1.倒産による人生再建 精神的、体力的に負担が大きい場合、会社を閉鎖、人間としての幸福な人生を産 む方法に切り替えましょう。 ⚫ 精神的、体力的に限界だ。 ⚫ 資金繰りなどの経営の苦しさから逃れたい。 ⚫ 将来を考えると継続の自信がない。 ⚫ 経営から離れ、違う生き方をしたい。 ⚫ 人間本来の生き方に生まれ変わりたい。など 経営が行き詰まっても、自殺したり、一家で逃亡したりすることまで考えること は断じてありません。 経営者は「法で定められた法人という人間の代表者」であると同時に、「文字通り 人間」という 2 つの人格を持っています。法人は死んでも人間としての自分を大切 にして生きていかなくてはなりません。 しかし、計画性を持って法人を倒し、倒れてからどのように生まれ変わるか、ま でを考えての倒産は簡単ではありません。大変難しいことですが、方法はあります。 私は会社を閉鎖、人間としての幸福な人生を蘇らせる方法を究極の再建方法と位 置付けています。 つまり「倒産による再建」は、経営者を「人間」と「法人」の 2 つの人生に分け、 人間としての人生を選択して新しい人生再建出発の門出とする考え方です。 Column ハッピーリセット&スタート 私は 52 歳で順風満帆であった 3 つの会社を、ある理由で最も悪い形で倒産さ せました。この時、経営者として 2 つの人格を持っていることが分かっていれ ば、もっと違った形が取れたものと思っています。 会社の存続と自分自身の人生との区別がつかなくなっていたように思います。 その為に悪あがきをして、家族、身内、両親などに大きな迷惑をかけてしまいま した。この時「会社を倒産させた方が良いのでは?」と進めてくれた友人もおり ました。 しかし、その倒産の仕方がわからないのです。無責任に逃げてしまうことなど 出来る訳も無く、「会社を潰すのはとても難しいもの」と実感したことを覚えて います。 以来、ハッピーリセットの方法、仕組みを研究、一つの形を作ることが出来た と感じています。 ☞倒産を悩むことはありません。しかし、倒産の仕方を学ぶことは必要です。 314

〈倒産は倒して産むこと〉 経営破綻を目前にするとどんなに気丈な人でもパニック状態になることはやむを 得ないことです。 自分自身を冷静にするために、まず倒産について考えてみましょう。 ☞そもそも倒産とは何? 多くの経営者の頭の片隅には「倒産」という文字がこびりついているのではない でしょうか?夢を持って経営していられる方よりも将来に不安を持っていられる方 の方が多いものと思います。 倒産は今まで経験したことがない上に、関係者に迷惑を掛け、社会的信用を失墜 する不安から、耐え切れない苦しみを味わいます。その漠然とした不安は日々、経 営者の心を圧迫し心身を追い詰めていきます。 しかし過去を分析、再建の方法と道筋を作ることが出来れば、その不安から解消 され希望を持って経営に取り組むことが出来ると思います。どんなに借金があった としても、赤字であっても、諦めることはありません。もうひとふんばりしましょ う。 では、倒産とはどういうことなのか?自分を冷静にするために考えてみましょ う。 ☞倒産に基準はない そもそも倒産とは、一般的には『主観的にも客観的にも経済的信用が失墜し、 正常な事業活動が出来なくなった状態』を指します。 しかし見方を変えれば、どんな状況にあるにせよ、事業活動を続けることが出来 れば「倒産」ではないことになります。 倒産とは、『経営者が諦め、放棄した時が倒産』であって、自分自身に『生き 残る強い意欲とその方法がある限り、倒産ではない』ということになります。 倒産寸前の大ピンチを大改革のチャンスと捉え、自分自身に猛省を加え、生まれ 変わることが出来れば再び隆々となってくるはずです。 ☞倒産を選択するのも立派な決断 倒産の二文字も考え方次第でチャンスになるということです。 しかし、人生は有限です。体力には限界があります。 倒産回避のために全人生を掛けることよりも、経営者人生を諦め、人間としての 新しい人生を産むことも重要な決断です。 ☞頑張らないで人間としての幸福を味わうことも考えましょう。 315

2.夢ある倒産 本来、倒産にはならないものです。なぜなら、あなたの会社に関わっている全て の人々はあなたの会社が倒れたら困るからです。 ・銀行は倒産して返済出来なくなるよりも、少しずつでも返済してくれた方が良い はずです。 ・仕入先は、全額回収出来なくなるよりも、少しずつでも支払ってくれた方が良い はずです。 ・従業員も給料が無くなるよりは、減ってももらえる方が良いはずです。 このように全ての関係者はあなたが、立ち直ることを望んでいます。ですから、 あなたが過去を反省し、死に物狂いで勇気と誠意を持って当たっていけば、必ず協 力を得られ、再建出来ることになると思います。 しかし、再建への気力や体力が失われてしまった場合、倒産を選ばざるを得ない 時もあります。しかし、その倒産にも 2 つの種類があることを理解して下さい。つ まり、「人生再建の為の倒産」という考え方も成り立つということです。 将来を考えて再起するための倒産を「夢ある倒産」、人生まで全て閉じてしまう ような倒産を「絶望的な倒産」と言えると思います。 〈夢ある倒産か、絶望的な倒産か〉 「会社経営に疲れ、精も根も尽き果て、倒産してしまった方が楽になる」と考え ている経営者もいられることと思います。何が何でも再建しなくてはならないわけ ではありません。 時と場合によっては一旦倒産してきれいに整理し、違った形で再出発を考えた方 が良い場合もあるかもしれません。 倒産は 倒して産むと 読むなれば 真の幸福 得るチャンスなり しかし、同じ倒産でもその倒産の仕方によっては将来の生き方に大きな差が生ま れます。倒産とは、人生を再建するための一つの手段と考えるべきものと思います。 つまり関係者の善意の中で倒産するか、憎まれ追われて倒産するかでは将来に天地 の差が生まれるということです。 しかし、現実は残念ながら、そのほとんどは絶望的な倒産です。その原因の一番 大きなものは、倒産の時期を逸していること、そしてその方法がわからなかった、 つまり良き相談相手がいなかったからと思います。 ☞夢ある倒産、つまり「倒して産む人生再建」を学びましょう。 316

〈夢ある倒産の条件〉 倒産は“倒して産む”と読めます。そして、「到」という文字は「行き着く」と いう意味であり、“倒す”とは「人に行き着く」ということになります。 つまり、「倒産とは、会社の経営者から人間としての生活を産むこと」と定義で きると思います。では、その人間へ生まれ変わるための倒産は、どんな条件が必要 でしょうか? 〈倒産(新しい人生再出発)の条件〉 1.従来からお世話になってきた仕入先、銀行、その他債権者の理解を得ながら の倒産であること 2.全財産を全て投げ出し、裸一貫になって出直すことができる形であること 3.自分自身を反省し、自己改革できること 倒産とは、このように将来に向けての一つのステップと考えるべきものです。間 違っても、債権者から逃げ回ったり、一家バラバラになり、人生を閉じてしまうよ うな倒産は選ばないで欲しいと思います。 難しいように思われますが、冷静になり考え方を変えれば必ず出来ます。 (1)お世話になってきた関係者の理解を得ながらの倒産であること 倒産に際し、最も悩むのは関係者に迷惑をかけることです。責任感の強い経営者 であればあるほど悩むものです。 しかし、唯一理解して頂く方法があります。それは「至誠」の一言です。 「至誠」は、吉田松陰で知られる孟子の「至誠にして動かざる者は未だ之れあら ざるなり。誠ならずして未だ能く動かす者はあらざるなり」が浮かんできますが、 至誠をもって本気で物事に取り組むことが、何より大切です。 支払いや返済できないお金に対し、誠意で返してゆくしか方法はありません。例 え、いかに少額であっても誠意を尽くして当たれば、理解と協力をしていただける ものです。 (2)全財産を投げ出し、裸一貫になって出直すことができること 会社を倒産させる時、財産を隠す人がいます。財産を隠すことを進める風潮もあり ます。 例えば、土地を他人名義にして、競売を逃れたり、現金を隠していたりすること などです。 この方法は感心しません。何人もの人を見てきましたが、このような不誠実な行 動を取った人程、再建は困難です。 周りの関係者の温かな応援を得られないからです。 そして倒産は、金持ちになるチャンスでもあります。 317

金持ちは 金に満足 出来る人 足る知る心 大切にせよ (3)自分自身を反省し、自己改革出来ること 私が再建の仕事を受ける度に感じることは、反省心のない人は前に進めないとい うことです。 よく「済んだことだから」と言う人がいますが、これ程無責任な言い方は無いば かりか、自分の将来をも閉ざしてしまうことになります。 過去をいつまでも引きずることは良くありませんが、過去に対する充分な反省 無くして先へ進むことは出来ません。更に再出発するには、反省するだけでなく、 考え方も変えてしまうこと、つまり自己改革を求められます。 (4)家族が力を合わせ、一つになって切り抜けられること 苦境に陥った時、最も頼りになるもの、それは家族であり、特に妻の存在です。 自分が得意の時には気付かなかったことが、失意に陥った時初めて、妻のありがた さに気付くものと思います。 倒産と離婚は全く関係のないことです。 会社の責任と家族の責任は全く関係ありません。 経営者にしても連帯保証人としての責任を負うのみです。 逆にこの苦境を家族が団結するきっかけとしたらいかがでしょうか? 始まるは 女が土台 読むなれば 妻と咲かせる 幸福の花 過去を振り返り、それぞれチェックしてみましょう。 〈夢ある倒産をするための反省〉 ◆この機会にお互いをもう一度見つめ直してみましょう □ 相手に対する愛情を欠いていなかったでしょうか? □ 自分の願望を、相手に求めすぎていなかったでしょうか? □ 自分の欠点を省みず、相手ばかりを責めていなかったでしょうか? □ 現実を受け止め、前向きに努力する心を欠いていなかったでしょうか? □ ほかの夫婦と比べていなかったでしょうか? ◆そして子供に対しても見つめ直してみましょう □ 子どもに対して、親の考え方を色々と押し付けていなかったでしょうか? □ しつけが厳しすぎたり、ゆとりのない育て方をしていなかったでしょうか? □ 子どもの心を理解しなかったり、無視したりしていなかったでしょうか? □ 愛情のかけ方を誤って、甘やかしすぎていなかったでしょうか? 318

苦境に立った時、サッサと離婚する家庭、お互いの悪口を言い合い、喧嘩ばかり する両親を見捨てて家を出る子供たち、実に様々な人生模様があります。しかし、 この苦境を救えるのは、他ならぬ妻の愛であり家族の団結と思います。 「禍福はあざなえる縄の如し」(老子)と言われます。 この苦しみが、結果的に夫婦円満を呼び、親子の心が一つになる家庭も少なくあ りません。絶対にそのようにすべきです。逆に、家族の愛がなければ再起は困難と も言えるわけです。 家を守ってくれる母を讃える古語に「平安の安は家に女あり 毎日帰る毎日の毎 に母あり 母の愛によって悔い改めるに母の字あり 海に母あり」という句があり ます。 財産はなくなったが、家族愛という心の財産を獲得できれば、この苦しみも価値 あるものになると思います。 Column 危機と絶望という文字 危機と絶望は読み方によっては全く逆な解釈となる意味深い言葉です。 危機が来た 危険と機会 読むなれば どちらにするか 我次第なり ・危機は危険な時(リスク)と機会(チャンス)の反対の言葉から出来ています。 つまり、両方の捉え方が出来ることを教えてくれています。 本書では「危機を乗り越えることにより、経営者としての成長がある」と前向 きに捉えています。 絶望は 絶えない望み 読むなれば 絶景なりと 喜び進め ・絶望と言う文字も絶(なくなる)と望(のぞみ)という、相反する文字を並べ た矛盾を孕(はら)んだ言葉です。 危機と同じく、どちらを選ぶかにより全く違った結果になる事を教えてくれて いるように思います。また「絶」は絶賛や絶景と言うように「この上なく」「非 常に」の意味もあり、「この上なく望みに溢れている」とも解釈できます。 絶いか望には苦し望くみても絶将え来るがと見え読にむくなくれてども自絶分え自な身のい捉望えみ方、す考える方もあ次第りせで明ばる い未来となることを教えるありがたい文字です。 「どちらを選ぶかは、あなた次第ですよ」と励ましてくれているように思いま す。 319

〈会社消滅後の連帯保証人の責任の果たし方〉 (重荷を負わずに責任を果たす) 転生にしても倒産にしても債務は旧経営者が責任を持ち、連帯保証人の立場で返 済してゆく形にします。 そして、その返済については、生活に影響を受けない金額とし、気長に債務免除 をしてくれる時期を待つことにします。 (借金は誠意で暖めよ、溶けてなくなるものである) 会社が消滅し、新たな生活をすることになり、その収入の中から、連帯保証人の 立場で払い続けていくようにします。 いかに収入が少なくても数千円であれば返済を続けられる筈です。 この形に合意して頂き、誠意を以って払い続けてゆけば、いずれ債務免除をする 形で完済になるものと思います。つまり、誠意で暖め、溶かしてゆく方法です。 この方法が最も早く、いずれの債権者にも恨みを買わずに実行出来る方法です。 Column 倒産により得られたもの 私が 52 才で倒産した時、喜んだのは妻でした。理由を聞くと「お父さんが家 にいるようになったから」とのことでした。 結婚は 黄昏れてこそ 結ばれる 平凡な愛 人生の味 その頃、発見したのは、妻の料理が意外と美味しいということでした。「上手 になったね」と言うと「昔から同じ、今まで家で食べたことがなかったから」と 言われてしまいました。 倒産前、平成元年頃は、株式上場を目指し、無理をし、バブル消滅後の大不況 にも何とか立ち直り、さらに大きくなろうとしてきた日々は、家に居る時もなく、 子供たちと遊ぶこともなく過ぎてしまいました。家族を犠牲にした無駄な努力の 挙句の果ての倒産でした。 これでは「会社の経営者で無く、会社の奴隷になっていた」と深く反省しまし た。 会社が倒産に至った時、家族がバラバラになる場合と、逆に団結し絆が深まる場 合があります。やはり、精神的に痛めつけられている時に温かい家庭がない場合、 再建は困難です。 倒産は一生の一大事であり、なんとしても家族全員が一つになり、切り抜けてい かなければならないものと思います。 320

3.倒産から産まれる新しい人生 「倒産による人生設計」とは、人間本来の生き方に立ち返ることです。私は 25 歳 で創業、52 歳で倒産により形あるものが全て無くなった時、悲しむどころか、逆に なんとも言えない爽快感に包まれたことを覚えています。 人間界には、形の世界と見えない世界があることを悟ったのでした。そして「形 の世界は必要な事であって見えない世界は重要なこと」と定義しました。形の世界 とは、地位、財産、肩書き、衣食住などを求める生き方のことであり、それまでず っと求め続けて来たことでした。 では、見えない世界とはどのような世界か?「何の苦も無く、楽しく、何事にも 捉われないで生きてゆける世界」と考えました。これからの人生を形に捉われない で楽しく生きてゆくことを決意、まず、徹底的な貧乏生活を目指しました。この貧 乏生活は、いざやってみると誠に楽しいものであることに気が付きました。 見栄を張らず、ありのままに生きることがこんなに楽しいことか?今までひたす ら形を求めて来た人生は一体何だったのか?と、反省をすることになったのでした。 ほとんどの経営者は、心に様々な悩みを抱え、時に喜び、時に悲しみ、日々生き ていくより仕方がない、それが人生と諦めているものと思います。しかし、本当は 誰もかれも一人残らず、この世で花咲く運命を持って生まれてきたのではないでし ょうか? 自然界の花を見たときに、きれいに咲いて当たり前と思うか、枯れて当たり前と 思うかです。 同じように「私たち人間も、この世に人間としての花を咲かせるために生まれて きた」と考える方が自然のように思います。 Column 会社存続の限界を知る 私の会社寿命は 26 年間でしたが、環境変化にさらされつつ商法、税法、労働 基準法、社会保険法などの制約を受けながら維持してゆくことは、まさにプロ経 営者ならでは成し得ない仕事であり責任と思います。 しかし、どんなものでも必ず終わりがあるものです。 法人と言われるように、人として認められるならば死を迎えることは当然とし て、社会に受け入れられるはすですが、会社の消滅は、非難の的になります。そ のため大きな決断と苦渋を味わされます。 この考え方は間違っていると思います。会社の存続と人間としての存続は別に 考えるべきものと思います。 321

〈形の世界から心の世界への出発〉 倒産が目前に迫った経営者にとって、再出発などと考える余裕はありません。し かし、考え方を考えれば、再出発は可能です。 今まで会社という形をいかに存続させるか? ということに苦しんできたものと 思います。考え方を変えるということは、形の世界から目に見えない心の世界へ出 発するということです。それであればお金に関係なく誰でも再出発出来ることにな ります。 Column 人生の再出発 私自身が、倒産後に考えを変えることになった経過です。(MyLifeより) 〜倒産後形の世界より見えない世界を目指すことを決意〜 高校生の頃から常に一番を目指し、事実その場その場に於いて達成してき た。 しかし、頭のどこかで「形の一番を求めてもキリがなく、終わりが無い」 「人生をどこで完成させるのか?」など疑問を持ち始めてもいた。「人生は有 限であるのに、無限の可能性を求める矛盾」を感じ始めていた。 「人生の成功とは、完成した事を成功というのではなく、目標に向かって一つ 一つ歩む、そのこと自体が成功である」と自分自身を納得させようとしていた が、どこか違うと思い始めていた。 人生は 心と形で 成り立つぞ 心で生きるか 形で生きるか そして幸か不幸か、52歳で倒産である。倒産は諦めのつかないことだが、今 になって考えると、形を求める考え方に終止符を打つキッカケとなったものと 感謝している。 この倒産をキッカケに、人生に対する考え方が180度変わった。つまり、形を求 める生き方から、心の充実を求める生き方に変わったのである。 その頃、ハッとさせられた歌があった。 「楽しみは 朝起きいでて 昨日まで なかりし花の 咲ける見る時」 たちばなあけみ (橘 曙 覧)である。 今までこんな余裕のある気持ちを持ったことはなかったので、強烈な印象を 受けた。 こうして、3つ目の指針に「形の世界より、見えない世界を目指す」が加わっ た。 この見えない世界を目指すことが、再出発の目標であり指針であった。 322

4.人間として咲かせなければならない幸福の花 人間はどのような花を咲かせることができるのでしょうか?欲張りのようですが、 咲かせなければならない花びらは 6 つあるように思います。 幸福の 6 つの花びら 1.夫婦円満 4.生活に恵まれる 2.親子円満 5.職業に恵まれる 3.健康に恵まれる 6.希望に恵まれる そして、長寿を全うする。 私は会社倒産の試練を経て、このように考えるようになりました。仕事、仕事に追 われているときは、これらすべてが欠けていたように思います。 私のように大なり小なり、経営者は、本来咲かせなければならない幸福の花びら を、会社存続のために散らしてしまっているように思えてなりません。 その意味で、私の倒産は人生の糧となる貴重な体験でした。 この幸福の花びらは、考え方を変えるだけで、誰にでも咲かせることが出来るも のと思います。俄かに理解することは難しいと思いますが、会社の倒産を乗り越え、 人生の再建へと生き方が変われば悟れてくるものと思います。 ◎ 6つの花びらの咲かせ方 この6つの要素は順序があり、一つ一つ積み重なっていくものです。まずは夫婦 円満、つまり夫婦の心が通い合う和のある家庭を築くことができれば、自然と子供 達とも円満になり、体も健康も回復、職業にも恵まれ、生活は安定し、希望が生ま れて…と連続していくわけです。 安楽は 女が家に いて楽し 妻を大事に 教えあるなり これは非常に難しいことであり、同時に簡単なことでもあります。 いかにして自分自身の知識による考え方を、真理に基づく生き方に変えることが 出来るか?にかかっていると思います。 知識と真理の比較については 61 頁、知識と真理の比較(日常面)を参考にして下さ い。この生き方は難しいものではありません。特に経営者にとっては簡単なことで す。今までは品性として「人間性と経済性の両立を求められた人生」でしたが、こ れからは「人間性のみを考えれば良い人生」になるからです。 ❖次頁は私自身の倒産による人生再建事例です。参考にして下さい。 323

〈倒産による人生再建事例〉 会社閉鎖により、全く新しい考え方で幸福な人生を蘇らせた 社名:Y 社、S 社、S 社、 社員数 45 名 業種:建設業、不動産業 負債額:約 15 億円 倒産理由:事件に巻き込まれたため ■経緯■ これは、私自身の再建事例である。私は大企業を退職後、25歳で独立起業、順 調に推移、52 才までの 26 年間、連続黒字経営を続けてきたが思わぬ形で全てを無 くすことになった。しかし、倒産を良いチャンスと考え、全く新しい人生を歩むこ とにした。その経緯である。 ① 倒産のきっかけ 40 歳代後半の頃、リフォーム会社、建設会社、 不動産会社の 3 社を経営、総合建設業の形が出来 上がりつつあり、夢を膨らませていた頃、ある銀行 から、倒産会社の土地の肩代わりが持ち込まれた。 不良債権を肩代わりし、分譲マンション計画を 立てた。 総額にして 12 億円の借り入れによる大型事業だっ た。1 億 5 千万円の価値しかない土地、建物を倒産 企業への貸付額の 3 億円で購入、建築費 8 億円を かけての 15 階建てマンション分譲事業計画だった。 これはトップ直轄で、担当者は融資担当役員だった。 ところが、計画通り土地を購入、様々な許可や手続きを経て、いざ建築を始める 時になり、その頭取が急に辞めて融資担当常務が交替、融資がストップ。一気に暗 礁に乗り上げてしまった。 土地購入費、地盤工事などですでに 6 億円を使ってしまい、後は建築のみとなっ た時である。云わば、2 階へ上げられ、いきなりハシゴを外された格好となってしま った。 324

② 倒産 これが平成 10 年のことであり、先の見えない苦悩が始まった。それでも、その土 地を建築条件付で売却、なんとか窮地を脱することが出来るかに思われた。 しかし相手が建築途中で倒産、またも約 2 億円の損失を被ってしまった。更に焦 って手形を発行、これが手形詐欺に合い借金は膨れ上がっていった。 この時、建設会社を倒産させ、リフォーム会社を生かせば何とか乗り切れたかも しれない。少なくとも、今の自分であればそれほど難しい仕事ではない。しかしそ の頃、相談する相手もなく、あったとしても詐欺師まがいの人物ばかりであった。 それから 2 年近い悪戦苦闘の末、いよいよ平成 12 年 5 月、2 度目の不渡りを出し 倒産した。この不渡りも手形詐欺により、だまし取られた自社手形を振り込まれた ものだった。それまでも、だまし取られて回ってきた手形を、何度も供託してなん とか回避してきたが、その余裕もなくなっていたのだった。 ③ 意義ある悪戦苦闘の 2 年間 この倒産に至る過程は、私の人生の中でも特に貴重な体験を積むことが出来た 2 年間だった。それまで順調に歩んできた会社が一挙に暗転、最も悪い形で全てを失 っていくのである。 それまでの表向きの経営は勉強で学べたにしても、土壇場の経営、修羅場の経営 は実際の体験を積むより修得することは出来ないことを、すべて終わって振り返る ことが出来た。この 2 年間の体験は、今日の再建コンサルタントとしての心構えを 学んだ結果となった。 会社が倒産する時、ほとんどの経営者は正常な判断能力を失っている。手形不渡 り、ヤミ金融などの恐怖に脅え、あらゆる所からの追及に耐え、そのストレスは相 当なものであり、無理からぬことである。 その気持ちは、同じ体験をくぐり抜けて来た者でないと理解出来ないと思う。そ の意味で、この 2 年間は意義のある期間だった。 ④ 溶けて消えた借金 肝心なことはこれからである。これで終わったら単純に倒産しただけで、恐らく 将来の夢は絶たれたことだろうと思う。倒産時、借入金は 15 億円を軽く超えてい た。不動産も同額位所有していたが、処分すると極端に減額となり、とても返済す ることはできなかった。 そこで、借入金は返済の可能性は低くても、誠意を以って対応していこうと決意 した。 仕入先を始めとした各銀行、税務署など誠意を以って対応し、少額ながら返済を 325

開始した。ほとんどの方が自己破産を進めてくれたが、頑として必ず返してゆくと 言い張っていた。 すると、2~3 年でいつの間にか借金は消えていた。本来なら自己破産を選択する 状態だが、相手が消してくれたのである。そしていつの間にか平穏な生活を送るよ うになっていた。 借金が消えていく過程は、知識ではなく、世の中には目に見えない解決方法があ ることを教えてくれた。つまり、知識とは別に存在する道理、摂理、真理と言われ るものである。 ⑤ 貧乏生活を楽しむ、同時に金持ちになることを決意する 不動産はもちろんのこと、友人に貸してあったお金も一切放棄し、貧乏生活を楽 しむことを決意した。つまり、形を求めてきた人生から、心の平穏を求める生活に 切り替えたのである。形は貧乏生活になったが、心では金持ちになれた。 「金持ちとは、収入の範囲内で生活且つその生活に満足できる人」と定義したから である。 当時、子供が 4 人、それぞれ学校に通っていたが全て奨学金に切り替え、不足分 はアルバイトをした。妻はスーパーのパートで働き、私は月収 15,000 円程度のチラ シ配りをやりながら、今まで出来なかったことをやろうとした。 ⑥ 読書三昧の日々 今まで出来なかったこととは、忙しくて出来なかった本を読むことだった。 ブックオフでは 1 冊百円で売っており、毎月 5 千円の小遣いのほとんどを本代にし た。 つまり、100 円×50 冊も買えた。 こうして、今まで読めなかったもの を片っ端から読んでいった。 歴史小説、経営学書やノウハウ本、法 律、思想、道徳、宗教、古典など、とに かく百円で買える本を乱読。いつの間 にか 4 千冊を数え、置くところに困る ほどになった。 特に真理に関する本を精続しなが ら、再建に関する本はほとんど読破、知 識面で吸収することが出来た。 326

⑦ 再建コンサルタントへの道 しばらくすると、経営難で苦しむ方々から相談が寄せられるようになり、一緒に 考え、再建をする日々が始まった。すると紹介が紹介を生み、平成 14 年からの今日 までの約 20 年間、毎週 1,000kmも移動する忙しい日々を送っている。 ■現在そして将来■ この倒産体験は、本当に貴重なものだった。そして現在、270 坪の敷地に 3 棟に 分散、11 人家族で暮らし、第二の人生を楽しんでいる。 この体験により「倒産とは全てを無くしてしまうのではなく、見える形を亡くし、 見えないものを産むためのものである」ことを悟ることが出来た。そして、再建コ ンサルタントとして経営者を助ける為には、とても貴重な体験だった。 破産などの法律に頼ることなく、人間としての善意を引き出し、味方につけ幸福 な人生へ生まれ変われることを多くの人に伝えてあげることを願う日々である。(拙 著 My Life 参照) Column 経営の真理を広める 私は経営の世界でずっと生きてきました。25 歳から起業、足かけ 50 年もの間、 経営者としての人生を送ってきました。 この間、実に様々な紆余曲折がありました。 特に 50 歳を過ぎてからの再建コンサルタントでは様々な体験を積むことが出 来ました。 単純にアドバイスをするだけでなく、その経営者と一緒に悩み解決をすること でその人の人生を同時に歩んだことになり、気が付くと私なりの経営学らしきも のが出来上がっていました。 この「知識と真理の調和による経営学」は過去にないこれからの新しい経営学 のように思っています。すでに形の欲はほぼ無くなっています。多くの人たちに 迷惑を掛けてきた反省ばかりです。 その罪滅ぼしは多くの人を助けることと思うようになりました。 そこで 5 年程前から、経営の講義を通し独自の経営真理学というものを残した い、残して死にたいと思うようになったのでした。 経営の講義は日本社長経営大学、経営の樹を育てる会、そして陰陽五行講座を 毎月東京、名古屋、横浜で定期開催しています。その他、求められるままに様々 な会場で講義をさせて頂いております。 その今までの体験をまとめたものが、本書真理編と別冊実践編です。 327

倒して産む 倒産 10 訓 1. 今日に至った原因を究明すること 原因は自分にあった!と気付くまで掘り下げてみましょう。 2. 過去を反省、新たな気持ちで出発すること 相手のせいにしないで全ては自分自身に原因があったと気付くことにより新し い出発が叶います。 3. 金持ちになる決心をすること 金持ちになることは簡単です。今あるお金に満足して暮らすことです。 4. 家族を大事にすること 今まで会社経営時代には気付かなかった妻や子供、親から受けた愛に感謝しま しょう。 5. 人間としての幸福を目指すこと 今日までの経営者としての幸福から離れ、人間本来の幸福を求めて生きていき ましょう。 6. 形の世界を捨て心の世界を求めること 会社を大きくしたい形の欲のむなしさを悟り、目に見えない心の幸福を大切に しましょう。 7. カードやローンなどと縁を切ること カードやローンと豊かな生活とは結び付かないことを悟りましょう。 8. 債権者に対し、誠意を尽くし続けること 支払いが出来ず、迷惑を掛ける相手に対し、誠意という心で返し続けましょ う。 9. 社会に対する奉仕の心を持つこと どこかで自分中心であったことを反省、「自分のためにすることが社会のため になる」「社会のためにすることが自分のためになる」真理を悟りましょう。 10. 有限の人生を大切にすること 大切な大切な一度きりの人生です。残された人生を無駄にしないため、過去の 出来事は全て良い人生のためにあったと悟りましょう。 328

Q&A 勉強会参加後のアンケートに対する回答です。双方向にすること により、一層理解が深まるものと思います。 冬季編 第 2 章 倒産による人生再建 「倒産とは、倒して産むことである」と言い続け、20 年になります。「倒産」は、 大変暗いイメージがあり、その恐怖のために逃げたり、自殺する人が後を絶ちま せん。私たち人間は、有限の人生を生きています。会社も同じこと、有限の会社で あって、当然と思います。 明るいイメージを持って倒産することを“ハッピーリセット”と称して広めて いきたいと思います。 Q86 死に近付いていることの受け入れ方を詳しく伺いたいです。 A 経営者は、人間と法人と 2 つの人格を持っています。法人の死は「倒産」と 言い「法人と言う人格を倒し人間としての新しい人生を産むこと」です。 しかし、見方を変えれば倒産は新しい人間本来の人生の門出になります。 つまり、自分自身の死と同じように考える必要はないということです。 むしろ、経営者としての人生から人間本来の幸福を掴む人生へと生まれ変わる良 いチャンスとして受け入れるべきものと思います。 その時大切なことは、迷惑を掛ける関係者に対し、裸一貫となって誠意を示す覚 悟が必要なだけです。 これは人間本来の生き方、足るを知る心、感謝の心を持つことなどにより、生ま れます。 このように、会社の死は悲しむことではなく、新しい人生の出発と思えば未来に 希望が湧いてくることになります。 Q87 社長がどうしても再建したいという熱意があっても、倒産せざるを得な い場合もありますか? A 少なからずあります。その理由は、再建の苦労が社長の「人間としての幸福」 を奪ってしまうこともあるからです。経営者は、法人の代表者と人間の 2 つ の人格を持っています。法人は潰れても人間は一度死んだら生まれ変わることは出 来ません。 どちらかの選択を迫られたら、人間としての人生を選ばなければならないと思い ます。再建には、強い精神力と体力が要求されます。会社再建に耐えられないと判 断した時には、倒産の道を選ぶべきです。 倒産は「人に到る。または、人を到して人を産む」と書き、決して恥ずべきこと ではないからです。 329

Q88 古川講師が倒産直後の 2 年間、誠意をもって返済する中、一番つらい出 来事又は一番学びになったと思うことがありましたら教えて下さい。 A 倒産直後の 2 年間でのつらい事は、ほとんどありませんでした。 会社を経営することは事業欲と言われますが、形の欲を求めれば求めるほど、 悩みは深くなることを悟ったからでした。 知識の世界から真理の世界という考え方にチェンジしたことにより、人間本来の 幸福の姿を手に入れることが出来ました。 同時にこの心の世界、真理の世界への追求ほど人生の勉強になったことはありま せん。倒産したことにより、開眼できたことを感謝しております。 もちろん、倒産直後にこのように思えたことではなく、徐々に悟ってきました。 そして今では私の体験を通して得られた経営の真理というものを一人でも多くの 経営者に知って頂きたい思いでいっぱいです。 Q89 古川講師は多くの困難な事例(今までに類をみない事例)を受け入れてお りますが、どのような心持ちで引き受けて、解決できるかどうか分からな い問題を、どのような気持ちで乗り越えてきたのでしょうか? A 私は会社経営をしている時から倒産に至るまで、家族、両親を始め、多くの 関係者に多大なご迷惑をかけてきました。そのお陰で多くの体験を積み充実 した人生を送ることが出来ております。その恩返しは、悩み苦しむ経営者の皆様の お役に立つことであると思っているからです。 そして、70 歳となり「このまま死んでゆくのは、人生が勿体ない」と思う一心か ら、皆様のお役に立てられるよう、日々努力を重ねております。 また、「解決できるかどうか分からない問題はない」と思っております。 形の上では元に戻らない場合であっても、見方、考え方を知識から真理に変えれ ば解決方法はあるからです。 再建に取り組む時には、先ず再建方針を立て、必ずそのようになる戦略を立てて から取り組んでいるように、「失敗はしない」ことを大前提にしております。 Q90 何事にも捉われない生き方とはどんな生き方だと感じますか? A 世の中の全ては、「見えるもの」と「見えないもの」により形作られています。 何事にも捉われないとは形あるものにこだわらない生き方のことです。 金.物.名誉.地位.肩書などが形あるものです。 形のないものとは、幸福の6つの花びらを咲かすことです。 これはとても難しいことかもしれませんが、考え方を変えれば可能です。 330

Q91 倒産は再建方法の一つということを改めて感じました。 倒産後に楽しい 人生が待っているなんて、再建をしていただいた際は思えませんでした。 今やっとわかるような気がします。 A 倒産は形の上でのこと、心が倒産していない限り、必ず「形で計り知ること の出来ない新しい人生」が待っています。 今、不幸にして経営困難となっている方に是非教えてあげて下さい。 Q92 会社の再建と、人生の再建(経営者の人生などではなく普通の人の人生で す)は、同じようなものですか? A 会社の再建は「会社としての形の再建」です。 人生の再建は「人間としての見えない心の幸福を得るための再建」です。 人間は、何のためにこの世に生まれてきたか? 植物と同じように、花を咲かせ るために生まれてきたと考えることが、真理に基づく考え方です。 もちろん、会社経営を通じて花を咲かせることが出来る人は問題ありませんが、 会社経営のために大切な人間としての花を散らしてしまう方が多いのが現実です。 倒産による人生再建は幸福の花を咲かせることであり、会社再建にて花を咲かせ る意味においては同じと思います。 Q93 何が起きても受け入れること、危機とはチャンスでもあることを学びま したが、もう少し詳しく説明して下さい。 A 「危機とは危険な時と機会(チャンス)の合成語であり、どちらにするかは 考え方次第である」と思いますが、実はもっと深い読み方があります。 江戸時代佐賀鍋島藩、山本常朝(じょうちょう)が説いた「葉隠」の名言を紹介し ます。 「大難大変に逢うても動転せぬといふは、まだしきなり。大変に逢うては歓喜省 躍して勇み進むべきなり。」(しきなり、とは大したことはないの意) 危機であればあるほど、立派な経営者になれるチャンスということです。 チャン スを得るためには危機が必要ということになるかと思います。 会社を経営する以上、危機に逢っても平然と乗り越えるどころか喜びを持って立 ち向かう人格と能力を身に付けることが大切ということと思います。 これは大変難しいことですが、真理の考え方で向かえば可能です。 ただし、この努力が却って健康を蝕むようなことがあれば、あっさりと放棄し、 倒産による人生再建を選ぶことも大切と思っています。 331

Q94 “自分は何かということを悟ることが必要”と言われていましたが、古川 講師ご自身はどのようにその作業をされてきたのでしょうか? A 30 歳の頃から「自分は何か」と言うことを考えてきたように思います。そし て 20 年を経て会社を倒産させ、すべてを無くして0になって、始めて悟る キッカケを摘みました。 それからは、器に合わせた人生を歩もうと決意、全ての考え方を変えました。 一言で言うと「為せば成る」のではなく、「成るものは成る」「成らないものは成 らない」つまり「自然と成る力を身につける」ことを考えるようになりました。 それ以来、無理な努力をしない。将来のことは考えない、人も自分も大切にする、 形の欲は捨て心の世界を追求することなどを心掛けてきました。 その結果、願った以上の生活を送れるようになりました。 現在は、生意気ですが、「自分の人生を世のため人のために活かすことを、心の中 心に置かなくてはもったいない」と想うようになり、「自分を大切にすることが、人 を大切にすることに繋がる」ようにしたいと思っています。 Q95 現在、会社が危機的な状況に瀕しておらず、”倒産”という重みを自分事 に捉えることが出来ないのが本音です。しかしながら、今回の勉強会で学 んだ「金持ちとは収入の範囲内、且つ、その生活に満足できる人」は倒産 するしないに関わらず、平常時でもそうあるべきだなと痛感した次第で す。 得てして私自身も「常に改善して良くしたい」「今よりも更に上のステー ジを目指したい」というゴール無き”形の世界”に意識が捉われがちにな ってしまう部分があるのは言うまでもありません。 今あるもので満足する事、すなわち”足るを知る”という考えを生活レベ ルで実践し、今あるもので満足できるよう、毎日を丹念に生きていこうと 思いました。 A このように思って生きることが出来る人は幸福な人です。 この心で経営する限り、順調に経営されてゆくものと思います。 この世の中は見えない世界(陰)と見える世界(陽)で成り立っています。 ・見えない世界では人間として生まれた奇跡に感謝して、その人生の素晴らしさを 追求する。 ・見える世界では生活できることに感謝して“足るを知る”心を生活の基本に置く。 この 2 つの真理を理解されて“物心両面”の幸福が得られていることと思います。 332

Q96 倒産についても破産などの法律は何故使わないのですか? A 破産は法律を利用した踏み倒しと変わらないからです。 私はどんなに苦しくても、破産などの法律は使わないで関係者の善意を味 方にして再建してきました。その再建も出来ず、倒産になる場合でも破産をする必 要はありません。破産をする費用があるのなら迷惑を掛ける関係者に少しずつでも 分けて理解を頂くようにするべきと思います。そのほうが円満にスムーズに進むと 思います。 Q97 メンタル的に辛い時、どうやって気分転換されていますか? A 再建の仕事は、常に真剣勝負であり、表面的には辛い仕事です。しかし、考 え方を変えればこれほどやりがいのある仕事はありません。 考え方を変えることは、真理で考えるということです。 一言でいうと「社会に役立つ人生を歩み抜き、人生に何の悔いも残さずに死にた い」と思っているからです。 それでも、もちろん辛い時はあります。善意が通らない時です。その時は気分転 換ではなく、逆に真理の言葉に浸り、自分自身の考え方に誤りがないか、確認する ようにしています。 Q98 自社の顧客に対し経営指導を行いたいが出張指導は可能でしょうか? また、自分自身が能力を高めて指導すべきでしょうか? A 私の再建コンサルタントの仕事は全て、紹介で出張させていただいておりま す。遠慮なくお声掛け下さい。 当勉強会に参加される皆様及び関係者全員が、順調に経営されて行くことを目標と しています。 是非、当勉強会を活用し、顧客のサービスに役立てて下さい。まずは自分からとし ても、皆様自らが指導できるようになって頂きたいと思います。 経営難に陥る原因は様々であり、その再建方法は極めて多岐に渡ります。 まずは、同行など共に勉強して行きたいと思います。 Q99 「黒字倒産」と良く聞きますが、どんな風に起こるのでしょうか? A 一言で言うと、収支は成り立っていても、お金が回らない状態のことです。 例えば ・売掛金の回収ができない ・貸付金や投資など、お金が他へ流れてしまい使えない 333

・仮払金や未払金などは資産勘定になるため、黒字でありながら現金が無くて払え ず、税務署などから差し押さえを受けてしまった。 などです。これらの多くは、放漫経営、財務の軽視などから起こります。 あるデータによると「倒産企業の 50%近くが黒字経営」とのことです。信じられ ないことですが、あり得ることです。 逆パターンで「赤字決算でも倒産はしない」とも言えます。財務の知識を真理で 活かすことにより成し得ることです。経営者である以上、財務は最も重要な仕事で あり、どうしても身に付けなければならないことです。 Q100 善意総和型を装って、借りた金を返済しない連中もいるのでは? 涙を 武器にしたり、病を理由にしたり... A 残念ですが、いられることと思います。 善意再建方法は、「誠意」無くして成功はあり得ません。 相談時に、少しでも不誠実な態度や自分中心の考え方がある場合は、協力しよう とする心になれないものです。 また、自分の財産を隠したりする人がいますが、その場合は上手に乗り越えたか に見えても後の立ち直りが出来ないものです。 その場合はお断りしています。善意総和型再建方法とは、誠意を持って経営して きた結果、不幸にして死を選ぶような究極の選択を迫られた時に実行する方法です。 ※質疑応答は、200 回の講義から寄せられたものを一つ一つ答えてきましたので、 2,000 問を超えています。 その中から除夜の鐘の煩悩 108 種類に例えて 108 問選びました。 334


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