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13秋季編 第3章善意総和型再建方法〈外部協力による再建〉

Published by office, 2023-04-17 23:31:26

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第3章 善意総和型再建方法の実行 ―外部協力による再建― 周囲の善意に支えられての再建は 真の経営者に成長する かけがえのないチャンスである 277

外部協力による再建 社内改革だけでは再建出来ない場合は外部の協力を得て再建します。 〇税金などの未納等により売掛金を差し押さえられる 〇給料や仕入れ代金など支払いが出来ない 〇社員が分裂、バラバラとなった 〇借入金返済はおろか、金利も払えない 〇詐欺に遭い資金繰りが破綻した など この状態では、経営者一人の力での再建は困難と思います。なぜならば既に正常 な精神を保つことが出来ず、判断が狂い、高利に手を出したり、目の前のうまい話 に飛びつき、いよいよ深みにはまっていく状態であるからです。この場合は、自社 内の再建だけではなく関係者の返済猶予を求めるなど外部関係者の協力を仰いで再 建へ進みましょう。 〈外部関係者への協力内容〉 外部関係者とは、調和関係図の関係者を指します。 交渉の容易な順に並べてみます。 1. 金融機関:借入金の返済猶予依頼(リスケジュール) 2. 公共機関:・日本年金機構:社会保険へ支払猶予依頼 ・税務署:法人税、消費税の納税猶予依頼 ・県・市町村:法人県民税、固定資産税の猶予依頼 3. リースローン会社:リース料の支払猶予依頼 4. 仕入代金:以後の現金払いを条件とした棚上支払猶予依頼 5. サラ金、闇金:ケースバイケースで対応 その他、様々あると思われますが、誠意を持って対応してゆくことになります。 なお、人件費、外注費についての支払い猶予は最後の最後に考えるものです。 〈協力依頼の方法〉 協力を依頼するには、誠意だけでは通りません。紙頼みが必要です。 依頼する考え方の基本は次の 3 点です。 ・法律だけでなく憲法の精神を取り入れる。(292 頁責任は果たす しかし重荷は 負わない参照) ・客観的整合性を持った再建計画書(夏季編第 5 章)の作成。 ・陰陽思想による交渉(春季編第 4 章)を心掛ける。 これらにより協力を依頼してゆきます。 278

1.危機を乗り切る資金繰り 当再建方法では 3~5 年間の長期的な展望に立って計画を練り、全ての関係者の善 意の協力を得て、再建していくことを基本的な考え方としています。 再建条件の営業利益の確保が出来ればとりあえず、倒産は回避出来ることになる わけです。 それでは経営危機を乗り切るための資金繰りを考えましょう。 絶望的な状態で最も大切なことは、今日、明日、さらにはここ数か月の資金繰りで す。いかに会社が苦しくても、資金繰り次第では簡単には行き詰まらないものです。 しかし、銀行から既に借入れは出来ず、買い掛けでの仕入れも出来ない絶望的な状 況での資金繰りをしなければなりません。 それには、常識的な発想を見直す必要があります。 常識的な発想とは、 ・仕入業者に代金を支払わなければ次から仕入れることが出来ない ・売上が落ちれば経営が成り立たない ・手形が不渡りになったら倒産だ ・税金滞納で差し押さえられてしまえば倒産だ これらの考え方を一旦横に置き、考え方を変えると、意外と次から次へ解決策が 生まれてくるものです。絶対に諦めない執念、そして何よりも、多くの関係者の理 解と協力が必要です。 過去を反省し、これから生まれ変わることを誓い、誠意を尽くして熱意と創意 によって関係者の理解を頂き、協力を依頼しましょう。 ❖次頁、経営危機脱出の資金繰り 10 ポイントを参考にして下さい。 Point 危機を乗り切る資金繰り “遠山を望みながら累卵を握り歩む”という名句があります。 経営再建において「遠き山を望む」つまり、3 年先の立ち直った姿を描き、「累 卵を握り歩む」つまり、卵を握るように、目の前の状況に注意を払い歩く、この 2 つの視点が大切ということです。 目の前の状況で最も大事なものは資金繰りです。 いかに立派な計画書であってもそれまでの間、資金ショートを起こせばその時 点で終わってしまいます。再建への目途がつくまでは、お金のやり繰りは最も重 要な仕事です。 279

経営危機脱出の資金繰り 10 ポイント 1.仕入れ代金の長期分割払い依頼 仕入れ代金等が溜まっているものと思います。過去の支払いをしなければ納入 しないと言われる業者がほとんどと思いますが、計画書を基に説明をし、今後は 全て現金払いを条件に長期分割払いをお願いしていきます。 つまり、一旦棚上げさせていただき、営業利益の中から払っていくことにする わけです。その結果、支払額が残高の 1/10 や 1/100 になるかもしれません。 ほとんどの経営者がそんな無茶なことは言えない、と尻込みしますが、今は生 きるか死ぬかの危急存亡の時です。勇気と誠意でチャレンジしましょう。 2.発行済み約束手形の回収、又は不渡り前提での再建 手形ジャンプ、書き換えは解決ではなく先送りに過ぎません。現状を説明、不 渡りを出さない為、熱意と誠意を持って返還をお願いします。手形回収の替わり に支払い証明書を発行します。回収が出来なければ不渡り前提の再建方法に切り 替えましょう。 3.税金や社会保険料の支払い猶予依頼 税金や保険料などの延滞が発生しているものと思います。これらの分割支払い 猶予を取り付けます。 国税、県税、市税、保険料などは、「将来必ず再建できる」と確信出来る再建計 画書があれば、長期の分割払いに応じてくれるものです。 4.借入金の返済猶予、更には利息の支払い猶予依頼 借入金返済を毎月の経費と考えれば、借入金残高の多寡(たか)は関係なくな り、無借金経営のように気持ちが楽になります。返済は利息と元金合計を言いま すが、利息は経費であり、元金は返済です。 利息分を支払うことができればトラブルにはなりません。返済分については当 分猶予をいただき、業績の回復を待ち、返済していくこととします。 しかし、利息すら払えない場合もあります。利息も払えない場合であっても、 臆することなく話し合いでまとめていくこととしましょう。 冬季編 2 章詳述 280

5. ヤミ金などとの交渉 これらとの交渉が最も辛く、ついつい逃げ腰になり、言いなりとなってしまい、 倒産の直接の引き金となる場合が多いものです。誠意を尽くしても、特殊なケー スが多く一筋縄では解決しない場合もあります。 その時は、簡易裁判所への特定調停や警察に依頼しながらの交渉を考えます。 勇気を奮って堂々と交渉していきましょう。 6.人件費は固定給から変動給へ 人件費を収入に応じて支払うように、変動費化します。利益が減っても、維持 できる体制にしなければならない以上、人件費を利益に応じて支給する変動給(業 績給)にすべきです。社員は利益 3 分割制の仕組みを理解すれば納得してくれる と思います。 人件費を業績給にすることにより、やる気のある社員がバリバリ働くようにな り、社内が活性化してゆきます。 7.財務の重視 経理は過去を集計するもの、財務は未来を計画するものです。今日、明日の存 続が難しい会社にあっては翌月の目標を立て、すぐ反省するための財務計画が必 要です。さらに、毎月の売上を達成するためには毎日、毎日のチェックが大切で す。売上グラフを作り、常にその達成率を社員で確認し、達成の改善努力をし続 けなければなりません。 倒産会社の 50%近くが黒字会社という信じられないデータがあります。 逆に赤字決算でも倒産しない会社も存在します。つまり、財務の重要性の理解 によります。 8.税理士任せにしない 経営難に陥る会社のほとんどは、営業面と経理面のバランスが取れていません。 経営者が自社の経理上の数字を把握せず、税理士任せの場合が多いものです。税 理士は過去の経理を記帳し、決算をすることが仕事であって、会社の経営を助け てくれることまでは出来ないことをよく理解して下さい。 経営者自身が経理をよく理解し、分析する意識を持たないと、この危機を乗り 切ることは不可能に近いことを悟ってください。 税理士には経営者としての想いを伝え協力を仰ぐことが必要です。 創税の考え方を理解して下さい。 281

9.社長はお金や実印を握らない 再建途上においては、未払金や借入金の分割返済を余儀なくされます。借入金 だけでなく金利をもストップしたり、未払金、買掛金などを何年払い、また 1/100 払いなど極端な返済方法を取らざるを得ない場合が多いものです。これは、当の 本人である社長には交渉出来にくい事ですが、再建するまでは心を鬼にして、再 建計画を実行していかなければなりません。 したがって、お金の管理は信頼のおける経理担当に任せ、社長自らはお金を握 らない事です。もちろん任せ切るという事ではなく、きちんと目を通し、社長印 の無い出金を許してはいけません。 10.無借金経営を押し通す 経営難を乗り切るには、借入金返済や買掛金支払など全てに猶予をいただき、 その間に立て直し、余裕が出てきてから返済していく方法を取るしかありません。 当面は担保に入っている会社や自宅を、競売等で取られるかどうかのせめぎ合い を余儀なくされます。 したがって、これからは借入による経営は一切できないことになります。逆に 考えれば、無借金経営の基礎が出来たことになり、喜ぶべきことと割り切りまし ょう。 以上、資金繰り作成のポイントを 10 項目挙げてみました。 いずれも正常な経営時には考えも及ばなかった事柄と思いますが、これらの考え と真正面から取り組むことによって、新しい展望が開けてくるものと思います。再 建を決意してからの 2~3 ヵ月がヤマ場となります。 ☞会社を再建軌道に乗せるための資金繰りは最も重要です。思いつく限り知恵を絞 りましょう。 しかし、無ければ無いとして今あるお金でやりくりすることと割り切りましょう。 お金は無ければ無いなりに、やり繰りの知恵が湧きなんとかなっていくものです。 知恵と勇気と誠意を持って乗り切りましょう。 282

2.借入金に対する考え方を改める 倒産の多くは、資金ショートによるものです。借りたお金を返す為に借金を重ね る事になり、最終的には息詰まる場合がほとんどです。返済の為に他から借り入れ ると、借入金費用や利息に追われ、更に苦しい立場に追いやられます。 借入金は必ず返さなければならないものかどうか、考え直してみましょう。 (1)銀行は親切だ!? 貸し渋りとか、貸しはがしとか言われるように、「銀行は薄情だ!」と言われる方 がいますが、それは間違っています。 私の体験上、ほとんどの金融機関は非常に好意的であり、真剣に会社の再建を応 援して下さるものです。 金融機関が離れる最大の理由は、内情をごまかしたり、正直に伝えなかったりす るからです。少なくとも 6 ヶ月に一度、収支報告をしていれば様々な相談に乗って くれるものです。 (2)健全な借入金と不健全な借入金!? いくら多額の借入金があっても、苦しまない方法があります。それは借入金を健 全な借入金にすることです。仮に今返済が出来なくても、例え金利だけでも払うこ とが出来、かつ、返済計画を立てることが出来れば、健全な借入金となり金融機関 はそれまで待ってくれます。 つまり、善意総和型再建方法は 3 年後のビジョンをかかげ、必ず再建することを 約束しながら、支払い猶予をお願いし、再建後返済を開始するということになりま す。 (3)借入金返済は、返済金額から経費に置き換える!? いかに多額の借入金があっても、乗り切る方法があります。借入金返済は言うに 及ばず、金利さえも払えない場合は、借入金という債務を損益計算上の経費に置き 換える考え方です。返済額を「会社が生き抜くための経費」として捉え、極少額を 払ってゆく考え方です。「借入金は返済しなければならない」と思わず、会社が生き 残ることのみを考えることになります。 当然、経営破綻先となり、通常の取引の継続は難しくなる場合もありますが、誠 意をもって依頼すれば理解をしてくれるものです。 (注意:経費に置き換えることは考え方であって税法上の方法ではありません。) 283

(4)銀行との円滑な取引がなくても経営はできる!? 銀行から借り入れが出来なくなれば行き詰まると思い込み、無理をして返済する 経営者が多いものです。 しかし、それは発展している会社に言えることであり、経営難に陥っている会社 に手を差し伸べてはくれません。銀行はお金の返済能力のある会社に貸すものであ り、返済能力の無い会社に対しては貸しません。冷たいようですが、当然のことで す。 銀行は預金口座だけで十分です。心配は要りません。 (5)今、借りているお金は誠意を持って返さない!? 借入金は返済しなければいけませんが、今借りているお金の返済は少し意味が違 ってきます。「お金の貸し借りは、貸す側と借りる側との共同作業であり、共同責任 である」と言うことです。極端に言えば「借りたものは必ず返すのが当たり前」と 考えないことです。 ただし「返さなくても良い」と勘違いしてはいけません。返したくても返すお金 がない場合は「誠意を持って返さない」ということに他なりません。とことん誠意 を尽くし、しばらくの猶予を頂き、その間に立て直しを計り、その後一気に返済し ていくようにすべきです。 Point 借入金は返済しなければならないのかどうか? 会社が苦しくなった原因として、借入金の返済や、仕入れ代金の決済の遅れな どから、徐々に悪化したことがあげられると思います。ほとんどの経営者が「借 入金は必ず返済しなければならない」と思っています。 「手形は必ず決済しなければ倒産する」と思い込んでいるものと思います。 「仕入れ代金は支払わないと次から仕入れが出来なくなる」と思っていないで しょうか? これらの常識を一旦横に置いて考え直してみて下さい。会社を再建するには これらの負債を一旦棚上げさせていただき、毎月の収支を成り立たせなければ なりません。そして、棚上げしている間に黒字経営とし、それからどんどん返済 または支払っていく方法を取るべきです。 誰もあなたの倒産を望んではいないはずです。誠意を持ってあたれば必ず理 解と協力を得られ解決していくものと思います。 ❖それでは次頁より、銀行との返済猶予(リスケジュール)依頼の方法を説明します。 284

3.債務の返済猶予交渉 経営難に陥っている会社は、多額の債務を抱え、その返済に苦しみ返済のための 借り入れを繰り返し、最終的に行き詰まり、倒産に至る場合が多いものです。再建 するにはこのパターンを断ち切り、一旦全ての債務を棚上げし、営業利益の中から 少しずつ支払っていく形を取るしかありません。 債務は下記内容のものが挙げられます。 1.借入金 2. 社会保険料 3. 税金(消費税、源泉徴収税、固定資産税、法人税、市県民税など) 4.仕入代金などの買掛金 5.経費などの未払金 これらの返済に対し、一旦棚上げし支払える範囲内で支払っていく形を取れるか どうかということです。つまり、営業利益の中から払っていくことになるわけです。 その結果、支払額が残高の 1/100 や 1/1000 になるかもしれません。返済も元金はお ろか、金利すら満足に払えないことになるかもしれません。これらに対し「至誠に してかなわざること未だこれあらざるなし」の気概を持って誠意を尽くし交渉して いきます。 ほとんどの経営者がそんな無茶なことは言えない、と言って尻込みします。今は そんなことを言ってはいられません。生きるか死ぬかの危急存亡の時です。勇気と 誠意でチャレンジしましょう。 〈再建計画書の効果〉 これらのお願いを一時凌ぎでやるのか、長期的な展望の下にやるのかが大きなポ イントです。この判断は、営業利益を計上出来るかどうかにかかってきます。再建 条件に掲げたように営業利益が出ないのに猶予を頂いても延命でしかなく、倒産に よる被害者を増やすだけとなってしまいます。 長期的な展望とは、再建計画書の作成です。 絶望的と思われていた借入金返済についてもきちんとした再建計画書により、銀 行の理解を得られ、助けて頂けるものです。(217 頁再建計画書参照) 短期的、つまり目の前の資金繰りについては債権者との猶予交渉になります。 ❖借入金の返済が出来ない、毎月の仕入れの支払いが出来ない。手形決済が出来な いなども、支払い方法の合意を得ることが出来れば乗り切ることは可能です。 次頁にリスケジュールの依頼方法を説明しましたので参考にして下さい。 285

〈リ スケジュール(借入金返済猶予)依頼方法〉 リスケとは、「リ スケジュール」の略で借入金の返済条件を変更することにより、 今までの返済額の減額交渉をすることです。 借入金返済額は、元金返済額と支払金利の合計額です。 この毎月の返済額を長期返済に変更することにより、減額することが出来ます。 ◎例 10,000 千円を 5 年(5 年×12 ヵ月=60 回)1.5%で借りた場合 1.元金 10,000 千円÷60 回=166,7 千円 2.金利 10,000 千円×0.015÷12 ヵ月=125 千円 計 179,2 千円 この 179,2 千円をいかにして減額するか?の交渉です。 1. リスケの方法 ① 元金の返済期間を伸ばして月間返済額を減額する。 ② 元金をストップするが、金利は確実に支払う。 この 2 つの方法が一般的です。返済額は無理のない金額にしますが、金利さえ払 っていれば大きな問題にはなりません。 この 179,200 円を金利のみにすると 12,500 円となり、166,700 円が減額出来た ことになります。 しかし、金利もストップすると 3 ヵ月間で「期限の利益の喪失」となり、一括返 済を迫られ、担保物件の競売処分に進むため、金利だけは払い続けたいものです。 この金利も払えない場合は、さらに突っ込んだ方法により同意を取り付けます。 リスケとは 誠意によりて 成り立つぞ 反省感謝 忘れるなかれ 2. リスケ後の返済方法 ① 一般的な方法 リスケ後、再建に努力、余力が出て来た時点で返済を再開します。 ② 損切り処理する方法 金利と返済がなくなることにより、経営続行が可能ならば、銀行と誠意を以 って話し合い、保証会社又は債権回収会社へ移し、新たな債務者として極少 額を返済してゆく方法です。 この場合、借入は不可能となりますので、無借金経営の覚悟が必要です。 286

3. リスケのデメリット リスケをすることにより、資金繰りが改善される反面、大変なデメリットを持つ ことになります。リスケをすると金融機関との約束を守らなかったことになり、借 入れが一切出来なくなります。 このデメリットと今を生き抜くためのメリットを比較して決断することになりま す。 Column 無借金経営の覚悟 善意総和型再建方法は、どんなに困窮を極めていても再建は可能です。 しかし、リスケジュールを行なった場合は経営破綻先となり、以後の応援は得 られないことになります。 つまり、借入れが出来なくなることです。 したがって、借り入れをしなくても、経営出来る経営基盤を築かなければなり ませんが、こつこつとリスケジュールの約束を守り、信用が回復するまでは自分 自身の力でやり続ける覚悟を持てば、問題ありません。 〈銀行以外からの借入金〉 銀行などの通常の金融機関であれば上記の方法で問題なく切り抜けることが出来 ますが、その他の借入は大変困難です。 ①消費者金融やノンバンクからの借入 ②闇金融からの借入金 ③友人、身内からの借入金 消費者金融については、前述のリスケと同じ方法で交渉していきますが、闇金融 に対しては簡単ではありません。警察と相談しながら交渉していくことになります が、一筋縄ではいきません。 再建事例(別冊 経営の真理と実践 実践編の事件編)を参考にして下さい。 そして友人、身内からの借入れが最も困難です。 返済について争いにならない代わりに、道義的責任がのしかかり、重荷を背負う ことになります。 ほとんどの人が銀行返済を優先し、友人知人の返済を後回しにしていますが、こ れは順序が逆です。 銀行の貸借りは商行為です。しかし、友人知人からの借入れは善意の行いです。 善意の行いを踏みにじると以後の人間関係は切れてしまいます。 返済出来なくても誠意で返すことは出来るはずです。 少しの金額で構わないので、返済を続けなくてはなりません。この態度が誠意と 受け取られ、以後も良き協力者となるはずです。 287

〈責任は果たす しかし重荷は追わない〉 経営が悪化した時に、まず重荷となるのは借入金の返済です。そこで大切なの は、借入金に対する考え方を変えることです。 借入金などの返済や負債を、重荷としないで話し合いにより果たしてゆきましょ う。一見矛盾しているように思われますが、その方法は必ず存在します。 経営難の会社には、多額の借入金が残っていることと思います。その借入金の返 済責任を果たしながら、重荷を負わないようにする事は、つまり「誠意を尽くして 支払える範囲内で返済していく」ことに他なりません。 そして完済することは当面考えず、「借金返済は額ではなく、毎月の経費」と考え れば、心は無借金と同じになります。 責任は 重荷を負わず 果たすもの 時間空間 同時思考ぞ 借入金が重荷となり追い詰められ、その挙句自殺して生命保険で支払う方も居ら れます。これまで3人の自殺者を目の当たりにしましたが、たかがお金のことであ り、人生と交換するものではありません。 幸いにして、日本は憲法により基本的人権として生きる権利や幸福を追求する権 利が保証されている素晴らしい国です。 日本国憲法第 13 条〔個人の尊重、幸福追求権、公共の福祉〕 全ての国民は、個人として尊重される。生命の自由及び幸福追求に対する 国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の 上で最大の尊重を必要とする 日本国憲法第 25 条〔生存権、国の社会的使命〕 全ての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する いかに契約や法律で決められていても、日本国憲法の基本的人権が優先されます。 つまり、人生を犠牲にしてまで返済を迫られることはないということです。 ◎日本に生まれたことに感謝 私の体験では、正直に誠意を以ってお願いしていけばほとんどの方が理解して下 さり、暖かな手を差し伸べてくれました。日本人としての誇りと感謝の気持ちを持 って重荷をなくし人生を前向きに捉え、少しずつその責任を果たしていきましょう。 破産や民事再生などは、法律による借金踏み倒しであり、多くの人に迷惑をかけ てしまうため、最後の最後に考えるべきものです。 288

〈外部協力による再建事例 1〉 営業、財務を全てリセット。一からやり直して再建に成功 T 工業、環境衛生設備業 10 日後の支払と返済が不可能な状況での依頼 ■依頼内容■ T工業社は、水浄化関係の特殊な工事を扱う、ベンチャー型企業である。 社長は技術者としては優秀だが、経営者としては問題があった。 特に財務に疎く、資金難に苦しんでいた。経理担当は奥様だったが、やはり知識 に乏しく、経営破綻寸前に陥っていた。 私が、依頼に応じて訪問したのが、その月の 20 日である。既に月末の資金繰りが 出来ない状態だった。 ■分析■ 支払いは月末まで 10 日間しかない。その会社へ着くなりすぐ 3 ヵ年の決算書と 現状の収支計算書や借入金残高、債務など全て目を通した。 その結果、内部だけで再建出来るレベルではなく、多くの関係者の協力を得て再 建するしかないことが分かった。 ■再建方針■ 「全関係者の協力を得ながら再生する」 各銀行、社会保険、税務署、仕入先などへの支払いは、ほぼ不可能な状態であっ た。資金はほぼ無い状態である。 この場合時間がないため、全ての関係者から一挙に理解を得るために再生計画書 を作成する必要があった。 ■再建計画書の作成■ 月末までに実質一週間しかないので、翌朝までに再生計画書の原案を作ることと した。2 月の厳寒の中、事務所へ布団を持ってきてもらい、机の上に並べて寝ること にした。 翌日明け方に布団へ入ることが出来たが、ほぼ徹夜をして、再建計画書の原案が 完成。早朝出勤してきた社長にパソコンで清書してもらい、お昼頃完成した。 ■各関係先との交渉■ 月末の支払いや返済が出来ないので、午後から各債権先を訪問、返済猶予を取り 付けていった。 289

銀行は、5 行あったが、全て廻り、金利のみとしてもらった。 12 回払いと言っても均等払いは不可能なので 11 ヵ月間を極少額、12 ヵ月目に残 額払いとし、12 ヵ月目には再度この方法をお願いする形である。 社会保険事務所と税務署への滞納額は 12 回払いとした。 主な仕入先には、仕入代金の一部の支払猶予を取り付けた。 この間一週間である。 こうして、月末の資金繰りの破綻をまぬがれた。 ■月間収支の黒字化■ 「売上を減らしながら利益を上げる」方針の基、利益率の低い業種からは撤退、 確実に利益計上出来る業種に絞り込んだ。 そして、不用な、備品、車輌、土地など全て処分した。 こうして、何とか営業利益を確保することができた。 ■再建結果■ 軌道に乗るまでの約半年間、定期的に各銀行を回り、社内の帳票類の整備、経理 の単純化などを指導、何とか経営続行の目途がついた。 この間、私は近くの健康ランドへ泊った。1 泊 2500 円で、歌謡ショーもあり、楽 しい思い出となった。 Column プロは時間のものさしを持たない 私は再建をほぼ専門的に請け負っています。再建するには、ほとんどが時間と の勝負を余儀なくされます。 初回の面会時の 1 時間足らずの間に経営再建の可能性を分析、再建方法と将 来のあるべき姿を提示することにしています。そのためには。口頭ではなく書面 でまとめなくてはなりません。言ったことに責任を持つことでもあり、相手の社 長に厳しさを伝えることと安心してもらうためでもあります。 ものさしは 時間を計る ものなるぞ 目盛りの尺度 合わせて計れ この事例の場合、紹介を受けてから破綻するまで 10 日間しかありませんでし た。そのため、翌朝までには再建計画書としてまとめ、全ての関係者に一挙にお 願いすることにしました。 プロ経営者 10 訓(76 頁)3.プロは時間のものさしを持たない、とはこのことで す。 290

Q&A 勉強会参加後のアンケートに対する回答です。双方向にする ことにより、一層理解が深まるものと思います。 秋季編 第 3 章 善意総和型再建方法の実行 善意総和型再建方法は、圧倒的に不利な立場に立たされた会社の再建を成 功させるために考えた方法です。 破産などの法律を使わず関係者の善意を味方にして再建してゆきます。 再建は常識や知識の世界だけでは、成功するものではありません。知識を越 えた「真理」を基にした考え方で取り組むことにより、成功してきました。 「目から鱗」的な内容が多いようでした。 Q72 個人から借り入れをしていた場合、この返済をしないと再建計画が出来 ない理由をご教示願います。 A 個人からの借入れは、絶対にしてはいけません。 それは、次の理由によるものです。 個人と言っても良い人、悪い人と様々です。どちらにしても返済が出来なくなっ た時に必ず問題が生じるからです。良い人の場合は道義的責任が発生、悪い人の場 合、高利な取り立てが始まります。 銀行は、この問題に巻き込まれないようにするため一切相手にしてくれません。 いくら再建したいと言っても協力をしてはもらえません。 銀行から借入をすると「返済しなければならない返済責任」と同時に「貸す側に は貸し手責任」が発生します。 つまり、お互いが仕事として処理しているので返さなくなった時には、仕事とし て処理することになり、それ程の問題にはなりません。 個人の場合は、人道的責任と同時にそれ以降の人間関係を壊してしまうことにな ります。会社の閉鎖は特に困難になります。 そして連帯保証人を依頼することも避けて下さい。 特に担保提供してもらうことは絶対にしてはいけません。人間関係を壊してしま います。 Q73 「紙頼み」= 書面化は金銭だけではなく、戦略や雇用、相互協力などに も有効でしょうか? A 「紙頼み」は全ての場面に有効です。相手の心をやわらげ、冷静にさせなけ ればならない時に特に有効です。 291

紙頼みをする上で、特に重要な 3 点を申し上げます。 ①正邪曲折を正しながら、人間的な次元を引き上げつつ、解決に導く 次元を上げることは、鬼の心から人の心、そして神の心へ引き上げていくことで す。「神の心とはお互いに思いやりを持ち、相手の立場に立って考えよう」という ことです。そうなればどんなに難しい問題でも解決していくものと思います。 ②問題点をまとめ、両者で協力する形を取る 「お互いの考え方を一つにする」ために、まず経緯をまとめます。 過去から今日までの経緯を振り返ることにより、冷静に考えられるようになりま す。 ③陰陽の考え方を取り入れる お互いの主張が 「陰と陽のどちらにあるかを考えて、陰陽のバランスを取りなが ら進める。」 積極的に出る時は「先手必勝」(陽のポジションにいる場合) 消極的に守る時は「後手堅守」(陰のポジションにいる場合) を使い分ける。(88 頁第 4 章陰陽思想から真理を探る参照) そして、紙頼みの根底に流れるものは、誰もが認める客観的整合性と誠意です。 Q74 今の借入金が多くて、そもそもこの借入金の月々の返済は、当社が得る 利益額を超えているように思うのです。 事実上、過去にはこの利益は無 いです。 ですので、経費の人件費を減らすか、新しい商品サービスを作 って可能性を拡げる方法に出るか?古川先生ならどういう方法の考えを とりますか? A 経営不安は、様々な要素が絡み合って起きるものです。 従って先ずは現状 の分析をした上で消極策を積極的に実行します。 1.過去から今日までの分析(3 ヵ年) なぜこのようになってしまったのか、それが分かればこれからの道筋を描くこと はそれ程難しいことではありません。 経営の樹の育て方に沿い、修正、改革していくだけです。 2.再建方法 ・借入金の返済はストップ。金利の支払いは可能かどうか?まで考えて、リスケに進 みます。同時に税金、保険料などもストップします。 ▪人件費は増やすものでも減らすものでもありません。人件費比率を守りながら給与 を上げてゆきます。 ▪新しい商品サービスを作ることはリスクが伴います。経営難の今は考えず、会社に 貢献してくれている商品やサービスを絞り込み伸ばします。 以上、私の再建方法です。 292

Q75 社会保険料を、コロナの特別申請し猶予中です。猶予は一年間ですので来 年 2 月より支払いが始まります。どのように分割交渉していったらよい のでしょうか?今一番の悩みです。 A 悩むことはありません。正直に誠意を以って当たれば、必ず分かって下さい ます。 ただし、言葉では通用しません。前述の「紙頼み」により、相手の担当者を人の 心から神の心にさせてゆく努力をして下さい。 Q76 国税の差押え撤回は、交渉で出来る場合があるということでしょうか? A 国税の差し押さえは、法律に基づき決定することなので、法律や知識の世界 での交渉では、ほとんど撤回されることはありません。 しかし、憲法で定めた基本的人権の尊重から考えれば、撤回しなければならない 場合もあると言うことです。 国税局は、一見恐いように思われますが、決してそんなことはありません。 いかに納税が滞っていても、納税出来ない理由と誠意があれば事情を理解してく れるものです。 差し押さえをされることは、誠意が足りなかったり、嘘をついた時など、やむを 得ず実行されたことです。 別冊の実践編に実例として多く取り上げておりますので、参考にして下さい。 Q77 「誠意を持って払わない」は当講義でも代表的なフレーズですが、あえて 長期分割を受諾した側の心境がどのようなものか興味があります。 もし誠意を尽くし、支払いができない状態に陥っても金融機関、もしくは 個人の貸主は「それは仕方がない」という心情になるのでしょうか?借入 金が誠意によって”溶ける”までに至る、相手方の心の過程を知りたいで す。 A 人は「神の心、人の心、鬼の心」の 3 つの心を持っていると思います。 この 3 つの心がくるくる回るのが人生であり、それも楽しいことであると思 います。 つまり、物理的に不可能であっても、心の世界に於いては物理的なものはあまり 意味を成しません。 お互いが神の心、つまり思いやりと調和心を持つことが出来れ ば自ずと解決していくものです。 相手の心が変化する過程については別冊実践編の実例を参照して下さい。 293

Q78 再建事例の紹介がありましたが、再建の前後で PL BL の数値がどのよう に変化したかも見てみたいと感じました。(開示できる範囲で) A PL の一例として説明します。 3 ヵ年計画で「売上を減らしながら利益を上げる」再建方法です。 過去 3 ヵ年の収支結果と 3 ヵ年収支計画 過去 3 ヵ年の実績 3 ヵ年収支計画 ホップ ステップ ジャンプ 一昨年前 昨年 今年 1 年目 2年目 3 年目 売上 300 250 200 160 200 300 売上原価 240 205 170 128 158 231 売上利益 60/20% 45/18% 30/15% 32/20% 42/21% 69/23% 人件費 25/42% 25/56% 15/50% 15/47% 19/45% 28/40% 変動費 18 17 15 11 12 15 固定費 6 65555 販管費 49/16% 48/19% 35/18% 31/19% 36/18% 48/16% 営業利益 11/4% ▲3 ▲5 1/0% 8/4% 21/7% ※比率の分母は人件費比率のみ売上利益、他は売上 過去 3 ヵ年の収支の流れを分析した上で 3 ヵ年の収支計画をホップステップジャ ンプで計画したものです。 〈Point〉 1. 売上高 1 年目では現在より下げた目標とし、3 年目で 3 年前に戻します。 2. 売上原価 実行予算書重視により、減価計算を徹底します。 3. 人件費 人件費比率を 40%に下げながら人件費総額を上げてゆきます。 4. 変動費 ムラムダムリの排除により、下げてゆきます。 5. 固定費 過剰在庫やムダな財産処分等を徹底します。 このような流れで無理なく確実に再建出来るよう導きます。 なお、借入金の金利と返済、及び滞納税金などは、営業利益の範囲内で支払うこ ととします。 これが「売上を減らしながら利益を上げる」仕組みです。 なぜ売上げを減らさなければならないか?は 113 頁「売上至上主義の利益減少過 程」をご覧下さい。 294


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